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もりのにわ自家製酵母のパンとnaturalsweets

パンとジャム

今日ははじめてクマが家に遊びに来てくれました。

いろんなパン食べてみたい・・・といったので、
家にあった、ありったけのパンを並べました。

クマはパンの上にバニラの入った洋ナシジャムをのせて、
一口かじりました。

これ、何かの味に似てるね。
パンがカリカリだし、バニラの味のジャムだから・・・

へ?
何かな・・・
ワッフル?

ちがう・・
もっと長くて四角くって・・・バニラ味のクリームがはさんである・・・

ウェハース!?

あ!そう!それだ。。
でもウェハースよりおいしいね。

ありがとう。
これも食べてみて。
12月の終わりに焼いたシュトーレン。

クマはシュトーレンの薄く切ったものを一口食べました。

ん。。なんだろう。
いろんなフルーツが入ってるね。

そうだよ。
夏みかんのピールとレーズン。
レーズンは3種類入ってるよ。

うん。わかるよ。
いろんな味のレーズンが入ってるのがわかる。

ほんと!?
味のちがいわかる?
普通のレーズンとサルタナレーズンとグリーンレーズンなんだけど。
すごいね?その3種類のちがいを味わってくれるなんて。
わたしは、本気で感心しました。
スパイスのことや夏みかんのピールのことを言ってくれた人はいたけれど、
3つのレーズンの味の違いを指摘してくれた人(人じゃないけど。。)は、はじめてだったから。

なんかね・・・
山で会ったときから思ってたんだけど・・・
あなたって、クマっていうより・・・・

ん?クマっていうより?
何?

うん・・・
クマっていうより、
犬みたいね。。

う。。
がっくし・・・
人間みたいって言ってくれるかと思ったのに。
犬かよ~~

あ、ごめん。
でもただの犬じゃなくって、野犬!
鼻の利く、鎖につながれてない、じゆうな野犬だよ。

ただの犬でも野犬でも雑種犬でも警察犬でも・・・
同じだよ~

はは・・
そうだね。
わたしもほんとは人間みたいって言おうと思ったの。
でも人間のこと嫌いだったらどうしようって思って。
普通のクマは人間のこと嫌ってるし憎んでるんじゃない?

そっか。
でもオレは人間のこと、嫌いじゃないよ。
このあたりの人間は好きだよ。

そうなんだ。
よかった。

あのさ、この部屋に入ったときから思ってたけど、
すごくいいにおいがするね。
なんだろうこの香り。
懐かしい香りなんだけど・・・・

あ、ローズマリーだね、きっと。
す~とする爽やかな森の香り。
薪ストーブの焚付けにローズマリーの枝をつかったんだよ。
だから匂ってるんだね。
味覚もすごいけど、嗅覚もすごいんだ。。
やっぱり犬みたい。。。
でもあなたが入ってきたとき、やっぱりいい香りがしたよ。

どんな?

クマの香り!!
っていうのはウソで、
おがくずと蜜蝋と焚き火の香りを混ぜた感じの香りだな・・・・
あ、そうだ。
あなたの呼び名を決めたいな。
「おがくず」か「みつろう」か「たきび」
その中でどれがいい?

え、その中で決めるの?
究極の三択ってやつ・・・か?
やっぱ・・・みつろーかな。
日本人の名前にありそうだし、みつろーって。

よし!決まりだね。
みつろーーー!!いい名前だ。

そんじゃぁ、君の呼び名は「みも」にするよ。

おぉ三択じゃなくて、もう決定ですか。。。
みもねぇ・・・
いいけど、3回以上続けて呼ばないでくれる?

みもみもみもみも・・・もみもみもみ・・・揉み揉み・・

あ、ほんとだ。
ちょっとエッチな感じ?
わかったよ、3回以上続けて呼ばないよ、みも!

なんだかお互いの呼び名が決まると、
親しくなった気がしていい感じなのでした。。







足跡

静寂の中に響く小さな音のほうへ
わたしは歩いていきました。

音は途切れながらも響いていました。

それは音楽のよう。
何かがぶつかっているような?
でもそれは偶然にできるのではなく、誰かが意識的に奏でている音。

もう少しでその音にたどり着けそう・・・
そう思ったときに、音はぱたりと止みました。
でも音の方向はわかったので、
わたしは迷わず向かいました。

そして見つけました。

森の一角の日あたりがいい場所。
でもどこからも見つからないような隠れた場所。
大小さまざまなサイズの鹿の角が、
木の枝につるしてありました。
大きなつららも雪にさしてあります。20本くらいありそう。。
平たくて長い大小の石も雪の中に半分埋もれながらも見えていました。

やあ。。
一匹のクマがもみの木の後ろからあらわれました。

ここはそのクマの家だったみたい。

親しげなやさしい目をしたクマだったので、
わたしもあいさつしました。

はじめまして。。

そして気がつきました。
鹿の角やつららはチャイムに、石はシロフォンになってるってことを。

すごい。
これ、作ったの?
ピアノの鍵盤順に並べてあるの?
何か弾いて!!

クマはトンカチみたいなものを持ってつららをたたいて演奏してくれました。

あれ?
どこかで聞いたような。。。
これって、わたしがピアノで弾いてた曲だよ。
しかも昨日の晩。

クマの弾く「夜空ノムコウ」は上手でした。
つららのチャイムの音がメロディーにとても合っているし。
きれいな音。。
つららチャイムを鳴らすのは、妖精くらいだとおもってたけど。。
すごいね、びっくり。。

演奏を終えたクマは、わたしが拍手してもあまり満足そうではない顔。

どこかおかしいのだよね。
キミが弾いてた曲と、少し音が違う気がする。

わたしはすぐにわかりました。

この曲、「シ」の音が♭なんだよ。
シのつららをもう少し短く切ったらいいかもよ!

クマはのこぎりで慎重につららを切って、何度もたたいて音を調節しました。
そしてシから半音低い音をつくりました。

でも・・・
わたしが弾いてたピアノ、こんな山の上まで聴こえたの?

うん、かすかに聴こえたよ。
でももっと聴きたかったから、山を降りて近くまで行ったよ。

わ・・・
家の近くまで来たんだ。。。

うん。
近くっていうか・・・庭まで。。
ごめんな。。。

いいよ、あやまらなくても。
でも雪の上にあった足跡は、野うさぎだけだったよ。
あなたの足跡はなかったけど・・・

あぁ、あの野うさぎの足跡がオレの。
ほら、これ見て。

クマはいろんなものが並んだ棚から茶色い靴を出して見せてくれました。
一見それは普通の靴なんだけど・・・
裏をみるとウサギの足型そっくりに作った木のはんこが取り付けてあります。
おぉ、なるほど・・・
これを履いて雪の上を歩くと、あなたはクマでなく野うさぎに変装ってわけね!?

そう。
クマの足跡をみると、驚く人が多いからね。。
オレ、下界を歩くときはいつもこれを履くんだよ。

クマがそんな風に気を使ってくれるなんて。。
そんなクマもいるんだな。
なんだかうれしいよ。。

下界にはよく来るの?

昼間にはそんなに行かないよ。
でも君のうちの子どもたちに会ったことあるよ。

え!?
ほんと・・・
あ、もしかして11月の終わりころの話?

うん、そう。
11月25日火曜日朝の7時25分だったな。

そういえば、学校から帰ってきてから話してくれた、思い出した!
バス停でスクールバスを待ってたときに、道を挟んだ前の山にクマがいたって。
「クマ!!」って叫んで、でもじっとよく見たら、カモシカだったって。
びっくりした~~って話してくれた。

うん。
オレもびっくりしたよ。
あわててカモシカのカモフラージュ毛皮をかぶったんだけど。
カモシカだと思ってくれたみたいだったね。

カモシカの毛皮!?
あの棚に入ってるの?

そう。
イノシシのもあるよ。

すごいね~
あ、わたしもうそろそろ帰らなくっちゃ。
子どもたち早バスで帰ってくる日だから。
これ昨日焼いたパンだけど、食べてね。

わたしはかごに入れてきた2色パンのかたまりをクマに渡しました。
しまった・・・せめてナイフでスライスしてくればよかった。
わたしったら・・・
山でかたまりのままかじろうとしてたんだ。。

いいよ。
大丈夫。
のこぎりで切るし。
それよりもし今度山に来るんだったら、熊除けの鈴、持ってこないとだめだよ。
冬眠してるクマがほとんどだけど、たまに寝ぼけて出歩いてるやつもいるんだから。
あの鈴があったら、クマも人間に会いたくないから逃げるんだよ。

わかった。
そうするね。
またね。。。

もっと話していたかったけれど、
わたしは山を降りました。



櫟

スノーシューって便利。
深い新雪の上でもズボらずに普通に歩けてしまう。
もしこれが長靴だったら・・・
こんな遠くまで歩けないだろうな。。
靴の中に雪が入り込んで、足が冷たくなって、
すぐに帰りたくなってしまうだろう。

でも、かごに入れてきたのはちょっとしくじったかな。
リュックにすれば、両手が使えたな。。。
でも今日はトレッキングじゃなくて、あくまでさんぽですから・・・
いいのだ。

夏には下草がぼうぼうで行けなかった場所も、
冬の今ならどこまでも行ける気がする。
熊だって冬眠中だろうし。
いつも下から見ている山の上のほうにあるヤドリギの木まで、
今日ならたどりつけるかもしれない。。
うん、行こう!

たどってきた野うさぎの足跡は
途中でわからなくなったけど
けものみちのような狭い道をずんずん進む。

ふと振り返ると、下のほうに家が見えた。
ずいぶんのぼったんだぁ。。。

ちょっと止まってひと休み。

静かだ。

山に暮らし始めてはじめての冬。
雪の静か過ぎる音の存在を知った。
しーーーーん・・・
しーーーんっていう音があるってこと。
初めて知った。
吸い込まれるような音。
いろんな音が吸収されていくのだ、雪には。

雪の夜の静かすぎる音は怖いときもあるけれど、
今は昼間だ。
ただひたすら心地よい静寂。

そんな心地よさにひたってたら、
不思議な音が聴こえてきた。

キーーーン。。
カラーーーン。。

ガラスがぶつかり合うような、透明な音。

どこから?



マーブル空

キ~ンと冷えた朝。

うすいブルーの空にマーブル状に白い雲が流れてる。
その流れかたは・・・
じゆうなの~どこでもいくよ~って言ってるみたい。
わ・・・この感じ、好きかも・・・
っていうか、好きだな、大好きだな。

くもがそんな風に誘ってくれるし、
明日から寒気が戻るっていうし、
きょうはわたしもじゆうにいこう!!
なんて、勝手に本日のスローガンなんて立ててるよ。。

あかずきんちゃんのかご(と呼んでいる)小さな蔓のかごに、
熱いコーヒーを入れたえんどう豆色の魔法瓶。
昨日焼いたパンも入れて。

なんだかそんな準備だけでわくわくしてきた。。

首には12月の終わりに編んだ紡ぎ糸のマフラー。
羊の毛をそのまま巻いたみたいであったかいよ。

靴は長靴じゃなくてスノーシューにしよう。
山の奥のほうにはまだ50センチくらい積もってるだろうから。

雪の積もった庭の、
野うさぎの足跡をたどって・・・
さぁ、森の裏庭のじゆうのさんぽ、はじまります。

かご

SKIN:Babyish-